【危機管理】「周知」されてないのは「羞恥」の極み!? ― 改正カスハラ法から現場を守る『実戦型・設計図』
皆さま、こんにちは。事案分析と解決の設計士、シバケンこと柴田建一です。
2026年も早いもので5月を迎えました。博多どんたくの熱気が街を包む中、私は相変わらず、皆さんの現場が「ハラハラ(ハラスメント)」しないよう、福岡の街を駆け回っております。
さて、本日のテーマは少し真面目、かつ私が非常に危機感を持っているお話です。
題して、「カスハラ改正法、あまりにも周知されていません」。
「えっ、法律が変わったの?」と思ったそこの事務長さん、看護師さん。安心してください。それが今の日本の「リアル」です。でも、「知らなかった」では済まされないのが、これからの医療現場なのです。
1.カスハラ対策は「努力」から「義務」の時代へ
まずは、硬い話を柔らかく、「軟らか(やわらか)法」としてお伝えします。
これまで、カスタマーハラスメント(カスハラ)対策は、あくまで「各現場の努力」に任されてきました。しかし、被害は後を絶ちません。特に命を預かる医療現場では、スタッフの精神的ダメージが離職に直結し、地域医療の崩壊さえ招きかねない状況です。
そこで法整備が急速に進んでいます。
- パワハラ防止法(労働施策総合推進法): 2022年の施行以来、事業主にはハラスメント防止措置を講じる義務が課されています。
- カスハラ防止条例の広がり: 2024年から2025年にかけて、東京都をはじめ地方自治体レベルでも独自の防止条例が次々と制定されています。
簡単に言えば、「院長や理事長は、カスハラから職員を守る体制を整えなければならない」というルールが、より明確に、より厳しくなっているのです。まさに「周知(しゅうち)」されてないなんて「羞恥(しゅうち)」の極み!……と言いたくなるほど、今の医療機関は無防備な状態にあります。
👉 あわせて読みたい参考記事 本年(2026年)秋の施行に向け、医療機関の経営層や管理者が「絶対に無視できない法的義務」の具体的な中身をご存知でしょうか。厚労省の新指針が求める防衛線の基準と、実務上で経営者が今すぐ講ずべき5つの措置義務のポイントについては、こちらの専門解説ブログを続けてお読みください。【改正労働施策総合推進法】2026年2月告示・厚労省カスハラ指針の解説と分析(第1回):医療機関における「ペイハラ対策」5つの措置義務と実務上の留意点 (https://shibaken-poli.com/2026/06/17/%e3%80%90%e6%94%b9%e6%ad%a3%e5%8a%b4%e5%83%8d%e6%96%bd%e7%ad%96%e7%b7%8f%e5%90%88%e6%8e%a8%e9%80%b2%e6%b3%95%e3%80%912026%e5%b9%b42%e6%9c%88%e5%91%8a%e7%a4%ba%e3%83%bb%e5%8e%9a%e5%8a%b4%e7%9c%81/)
2.警察官として37年見てきた「法律の限界」
ここで、私の経験に基づいたお話をさせてください。
私は福岡県警で37年間、警察官として勤め上げてきました。数えきれないほどの修羅場をくぐり、理不尽な要求を繰り返すクレーマーと対峙してきました。
その私が断言します。
「法律の条文」だけでは、目の前の暴徒を止めることはできません。
よく、「改正法ではこう決まっていますから、このマニュアル通りに対応してください」と言うコンサルタントがいます。しかし、目の前で患者が「土下座しろ!」と机を叩いているときに、机の下でマニュアルをめくっている暇はありません。
現場で必要なのは、きれいな理屈ではなく、「今、この瞬間にどう動けば、スタッフの身を守り、かつ法的に優位に立てるか」という実戦的な判断、すなわち「設計」なのです。
3.なぜ医療現場のカスハラには「特効薬」がないのか?
医療現場特有の難しさ。それは、相手が「患者さん」であるという呪縛です。
- 「病気でイライラしているから仕方ない」
- 「応召義務(診療拒否の禁止)があるから追い返せない」
- 「地域の評判が落ちるのが怖い」
こうした心理がスタッフを黙らせ、加害者を増長させます。
しかし、これは明確な間違いです。カスハラをする人間は、相手を見ています。曖昧な対応をすると、相手は「ここはワガママが通る場所だ」と学習してしまいます。
改正法が求めているのは、我慢することではありません。「どこまでがハラスメントで、どこからが正当な診察拒否の対象か」という一線を、組織として明確に引くことなのです。
4.シバケン流・「周知」を「実働」に変える3つの戦術
法律を現場を守る「武器」にするために、私は皆さんに「複数の選択肢(カード)」を持ってほしいと考えています。
| 選択肢 | アプローチ | 内容・狙い |
| 【A】組織的警告 | 法律を盾にする | 「当院は改正法に基づきスタッフを守る義務があります」とポスターや口頭で警告し、毅然とした一線を引く。 |
| 【B】心理的隔離 | 人間心理を突く | 第三者(事務長や外部顧問)が登場して場所を変える。「聞くふり」をしながら徹底的に「記録」を取り、証拠を積み上げる。 |
| 【C】警察連携 | 実務経験の最終手段 | 不退去や業務妨害には、即座に警察を。警察が動きやすい「言葉の魔法」を駆使して現場を制圧する。 |
どれか一つが正解ではありません。現場の状況に合わせて選択肢を切り替える。その判断を私が背中から支えます。
結びに:63歳の挑戦は続く
「きれいごと」を言う顧問はいりません。
現場で涙を流している看護師さんの横に立って、「大丈夫、私が責任を取るから、こう言いなさい」と言える存在でありたい。
経済工学の視点でリスクを分析し、警察官の経験で現場を制圧し、そしてダジャレでスタッフの緊張をほぐす。これが、世界で唯一の「シバケン・メソッド」です。
改正法への対策を打つ病院こそが、スタッフから信頼され、人材に選ばれる付加価値を手にします。
「やらなきゃいかん(医官)」と思っている院長先生。難しい法律の話も、「ガバナンスをガバッと」分かりやすく解説させていただきます。ぜひ一度、私にご相談ください!
今日も一日、安全診療で!
ワンダフルな未来を、共に設計していきましょう。
【ご相談・お問い合わせ】
「改正法への具体的な対応フローを作りたい」「現場のスタッフを守るための研修をしたい」など、どのようなことでもお気軽にご相談ください。
具体的なケースでお困りの方は、「柴田ガバナンス研究所」公式ホームページのお問い合わせフォームよりご連絡をお待ちしております。元警察署長としての実戦的な知見をもって、全力で皆さまの後ろ盾となります。
事案分析と解決の設計士 柴田 建一
👉 公的エビデンス:厚生労働省の公式指針はこちら 組織として講ずべきハラスメント対策の公的な基準については、厚生労働省発出の以下の指針をご確認ください。 【厚生労働省】労働施策総合推進法に基づく「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」 (https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001662584.pdf)
