皆さん、こんにちは! シバケンこと柴田建一です。
2026年4月、いよいよ「福岡医療カスハラ研究所」が本格的に動き出しました…といってももうすぐ5月のゴールデンウイークに突入です。 63歳、人生の第4クォーター。体力は年相応ですが、皆さんの現場を守るための「熱意」と「知恵」、そして「ダジャレ」のストックだけは、誰にも負けない自信があります!
さて、今日のテーマは、多くの医療従事者の皆さんが、心の中で「やってはいけない」と禁止してしまっている、ある「究極の自衛策」についてです。
題して、「110番をしてもいいんだよ。 —— 勇気ある通報が、現場の命を救う」。
1. なぜ、医療現場は「110番」を躊躇(ちゅうちょ)するのか?
私が医師会でのアドバイザーや講話を通じて現場の皆さんと接していると、ある「心の壁」にぶつかります。それは、「よほどの重大事件(殺人や刃物沙汰)でもない限り、警察を呼んではいけない」という強い思い込みです。
なぜ、そう思ってしまうのか。 そこには、医療業界が長年大切にしてきた「患者さんに寄り添う姿勢」や、医師法に定められた「応召義務(診療を拒んではいけない義務)」が影を落としているように感じます。
これまでの医療現場の対策といえば、
- 接遇マナー研修(どうやって怒らせないように接するか)
- アンガーマネジメント(どうやって相手の怒りを受け流すか) ……といった、「自分たちの努力で、相手をコントロールしようとする」手法に特化してきました。
でも、37年間警察官として働いてきた私から言わせれば、これはあまりに無防備です。 「寄り添い(よりそい)」すぎて、自分が「寄り倒(よりだお)れ」してしまう。 そんな理想や・理念の実現を追いすぎで、皆さんの精神が削り取られている現状を、私は黙って見ていられません。
2. 「応召義務」は「我慢の義務」ではない!
まず、皆さんにハッキリとお伝えしたいことがあります。 「応召義務」は、決して「ハラスメントを我慢する義務」ではありません。
厚生労働省の指針でも明確にされていますが、暴言、暴力、理不尽な要求を繰り返すなどの迷惑行為を行う患者に対して、診療環境を守るために診療を拒否することは、正当な理由として認められています。
それなのに、現場では「自分の接遇が悪かったから怒らせたのではないか」「私がもっとうまく寄り添えれば……」と自分を責めてしまう。 そうして「自分でコントロールできない相手」を、自分の力だけで何とかしようとして、泥沼にはまっていく。
いいですか、皆さん。 自分でコントロールできない「異常な言動」には、プロの介入が必要です。 そのプロこそが、警察であり、110番なんです。
「警察を呼ぶなんて、大げさかな?」……いいえ、そんなことはありません。 「110番(ひゃくとおばん)」をすることは、決して「ひゃく(100)」点満点の対応じゃない、なんてことはありません。むしろ、危機管理としては「イイト(110)」判断なんです!
3. 「軽微な妨害」こそ、法律で守られている
「でも、殴られたわけじゃないし、ただ大声で怒鳴っているだけだし……」 そう思って、通報をためらっていませんか?
ここで、元警察官の私が「法律の本当の使い方」を伝授します。 皆さんは「軽犯罪法(けいはんざいほう)」という法律をご存知でしょうか。
軽犯罪法 第1条 第28号 他人の業務に対して、悪戯(いたずら)などでこれを妨害した者。
殺人や強盗のような重大事件ではありません。でも、この法律は「皆さんの通常の業務」を守るために存在しています。
- 診察室で大声を出し続け、他の患者さんの診察を遅らせる
- 受付で理不尽な要求を繰り返し、事務作業をストップさせる
- 何度も執拗に電話をかけ、電話応対を妨害する
これらはすべて、立派な「業務の妨害」です。 さらにエスカレートすれば「威力業務妨害罪(刑法234条)」という、より重い罪にもなり得ます。
皆さんが毎日行っている「当たり前の診療業務」。これを守る権利が皆さんにはあるんです。 「軽微だから」と我慢する必要はありません。 「軽犯罪(けいはんざい)」であっても、皆さんの「経営(けいえい)」や「健全(けんぜん)」な職場環境を脅かすなら、それは立派な通報案件で犯罪なのです。
4. 110番は「意識改革」の第一歩
私が皆さんに一番お伝えしたいのは、「110番をしていいんだ」という意識改革そのものです。
110番通報を、単なる「犯人逮捕の手段」だと思わないでください。 医療現場における110番には、以下のような重要な役割があります。
① 「組織としてハラスメントを許さない」という意思表示
「ここは警察を呼ぶ場所だ」と相手に認識させるだけで、多くのカスハラ患者は正気に戻ります。内弁慶な彼らにとって、パトカーのサイレンは最強の「冷や水」になります。
② 第三者による「事実の記録」
警察が来れば、必ず「何があったか」の記録が残ります。これは後に、法的措置をとる際や、診療拒否の正当性を証明する際の、極めて強力な証拠になります。
③ スタッフの心の安全確保
「いざとなったら警察が助けてくれる」という安心感があるだけで、現場の空気は変わります。スタッフを独りきりで戦わせない。そのための「バックアップ体制」として、警察を活用すべきなんです。
「警察(けいさつ)」を呼ぶのは、決して「軽率(けいさつ)」なことではありません。 むしろ、現場を守るための「賢察(けんさつ)」、つまり賢い判断なんですよ!
5. シバケン流・「ためらわない通報」の3基準
具体的に、どんな時に呼べばいいのか。 官公庁のガイドラインにあるような曖昧な表現ではなく、私の実戦経験に基づく「3つの基準」を提示します。
- 「退去」を命じても、3回以上拒否した時 (これは不退去罪という立派な刑法犯罪の域に達します)
- 他の患者さんの診察や、スタッフの業務が物理的にストップした時 (軽犯罪法、業務妨害罪の適用範囲です)
- スタッフが「身の危険」を本能的に感じた時 (理屈ではありません。皆さんの直感は、接遇マナーよりも正しいです)
このどれかに当てはまったら、迷わ電話を手に取ってください。 「事件になってから呼ぶ」のではなく、「事件にしないために呼ぶ」。これが新時代の医療危機管理です。
結びに代えて:皆さんは、決して独りじゃない
医療法人の理事長、院長の皆さん。 スタッフに「110番してもいいんだよ」と言ってあげられる、そんな組織風土を作ってください。その一言が、どれほどスタッフの救いになるか。
そして現場の皆さん。 「寄り添い」は、相手が「人間としてのルール」を守っている場合に限ります(大部分99%の患者は全力で守るべき存在です)。 ルールを破り、皆さんの誇りや安全を土足で踏みにじる相手に対して、自分たちだけで解決しようとしないでください。
私は37年間、市民の皆さんの「助けて」という声に応えるために警察官をしてきました。 そして今は、「福岡医療カスハラ研究所」の所長として、皆さんの代わりに「適切な通報のタイミング」を教え、いざという時は警察との連携をサポートするためにここにいます。
経済工学の視点でリスクを予測し、警察官の経験で現場を制し、そしてダジャレで皆さんの不安を吹き飛ばす(本日はダジャレにかなり無理があったことをお許しください)。 それが、柴田建一という男の仕事です。
理屈だけのきれいごとは、もう終わりにしましょう。 「110番(ひゃくとおばん)」は、皆さんの「ひゃく(100)」点満点の笑顔を守るための、大切なパートナーです。
何かあれば、いつでも私に相談してください。 皆さんの現場が、一日も早く「安心・安全」な場所に戻るよう、全力で並走させていただきます!
それでは、また次回のブログでお会いしましょう。 シバケンでした!
