皆さま、こんにちは。事案分析と解決の設計士、シバケンこと柴田建一です。
2026年5月。福岡の街は初夏の力強い光に包まれています。人生の第4クォーターを全力で走り抜ける63歳の私ですが、今日も地域の医療安全を支える「司令塔」として、現場の皆さまと共に知略を巡らせております。
医療の形が「病院完結型」から「地域完結型」へとシフトする中で、医療・介護の舞台は強固なセキュリティに守られた病院内から、患者のプライベートな空間である「自宅」へと移りました。
病院内であれば強固なバックアップ体制がありますが、在宅の現場は異なります。そこは、複数の異なる事業体から派遣されたスタッフが入れ替わる、「混成部隊」による戦場なのです。この構造こそがカスハラ対策の弱点であり、同時に最強の武器にもなり得ます。
【1】「ガバナンスの不統一」という致命的な脆弱性
通常の医療機関であれば方針は一つですが、在宅医療では事業体ごとに「カスハラへの耐性」や「対応基準」に差があるのが実態です。私が警察組織の内部統制を見てきた経験から言えるのは、悪質な加害者はこの「組織の隙間」を本能的に見抜くということです。
1.付け入る隙を与える情報の非対称性 ・あるスタッフには高圧的に接し、医師の前では善良に振る舞う。事業体間で情報共有がなされていないと、特定のスタッフが「組織の隙間」として集中的にターゲットにされます。
2.分断工作による萎縮 ・「あのステーションの誰々は冷たい」などと他事業所へ愚痴を言い、担当者を萎縮させる。ハラスメントは、防衛力の最も低い地点から決壊していくのです。
【2】多職種連携を「安全保障」のインフラにする
これからの時代、在宅における連携は「適切なケア」のためだけでなく、「従事者の安全保障」としての側面を強化しなければなりません。
1.共通の「ものさし」を持つ重要性 ・事業所を超えて「ここまでは許容するが、これ以上は不当要求」という地域共通のレッドライン(基準)を持つことが、最強の抑止力になります。
2.分断工作を許さないコンセンサス ・地域全体で「その言動はハラスメントとして全事業所で共有・対応する」という合意があれば、加害者の分断工作は通用しません。
【3】「誰が舵を取るのか」―― コーディネーターの重要性
在宅における多職種のハブとなるケアマネジャーや訪問診療の主治医には、今後「現場スタッフの安全管理」をコーディネートする視点が求められます。私は、サービス担当者会議の中に「リスク・ガバナンス」のセクションを設けるべきだと考えます。
1.不穏な兆候はないか? 2.家族の要求がエスカレートしていないか? 3.万が一の際、どの事業所が警察と連携するのか?
これらを「予防的」に話し合う場が必要です。
【4】自治体・医師会の役割:公的事務としてのバックアップ
在宅医療や介護サービスは、自治体から委託された「公的事務」の側面を持っています。自治体は「丸投げ」にせず、事業者が安心して働ける環境を整える支援を行うべきです。
地域包括支援センターや医師会が主導し、「地域版・カスハラ対応ガイドライン」を策定することは極めて有効です。「地域のルールですから」という一言が、現場スタッフにとってどれほどの盾になるかは計り知れません。
【5】シバケン流:隙間を埋める3つのステップ
ガバナンス戦略として、以下の3ステップを提案します。
1.リスク情報の可視化と共有 ・個人情報保護法の範囲内で、不穏な兆候を職種間で即座に共有する仕組みを構築する。
2.複数対応・クロスチェック体制の構築 ・高リスクなケースでは単独訪問を避け、他事業所と時間を合わせるなど「相互保護」の体制を敷く。
3.統一された警告・契約解除フロー ・悪質なケースには、地域医療チーム全体として毅然とした態度を示す。これにより加害者の孤立化を防ぎつつ、自省を促します。
■結びに:安全なくして最善の医療なし
ハラスメントという「悪意」は、常に組織の綻びを探しています。私たちが事業体の垣根を超えて結束し、共通のガバナンスを構築すること。それが、在宅医療という尊い仕組みを維持する唯一の道だと確信しています。
「私のところは大丈夫」という過信を捨て、今こそ地域全体で「安全のスクラム」を組む時です。
ワンダフル!な安全環境を、今日から共に設計していきましょう。
【ご相談・お問い合わせ】 「地域単位でのカスハラ対策ガイドラインを作りたい」「多職種間でのリスク共有システムを導入したい」など、どのようなことでもお気軽にご相談ください。 具体的なケースでお困りの方は、「柴田ガバナンス研究所」公式ホームページのお問い合わせフォームよりご連絡をお待ちしております。元警察署長としての実戦的な知見をもって、全力で皆さまの後ろ盾となります。
事案分析と解決の設計士 柴田 建一(シバケン)
