皆さま、こんにちは。事案分析と解決の設計士、シバケンこと柴田建一です。
2026年も5月半ばを過ぎ、福岡の街路樹も鮮やかな深緑に包まれる季節となりました。 日差しに夏の気配を感じる今日この頃ですが、人生の第4クォーターを歩む63歳の私は、この季節の力強さに負けぬ情熱を持って、地域の医療安全を支える活動に邁進しております。
さて、本日は「接遇(せつぐう)」の基本でありながら、実は患者によるハラスメント(ペイシェント・ハラスメント)対策の「最強の防波堤」となる四つの動作についてお話ししたいと思います。
それは、「挨拶」「笑顔」「アイコンタクト」「声かけ」です。
これらは単なるマナーの範疇(はんちゅう)に留まるものではありません。 37年間の警察官としての経験と、現在は医療機関の安全対策アドバイザーを務める私の視点から見れば、トラブルの芽を未然に摘み取り、不当な要求が起こり得ない環境を設計するための「戦略的コミュニケーション」なのです。
【1】「患者さん」と呼ぶ勇気と、コミュニケーションの原点
まず、私はあえて「患者」という言葉を使い、「患者様」という呼称は使いません。
昨今のペイシェントハラスメントが深刻化している背景には、「患者様」と呼ぶことで「何でも言うことを聞きますよ」という過度なサービス精神を強調しすぎてしまった社会的風潮があると考えています。 医療提供者と患者は、共に病に立ち向かう対等なパートナーであるべきです。 一方が過剰にへりくだる文化が、一部の患者に「何を言っても許される」という誤った万能感を与えている側面は否定できません。
しかし、言葉遣いを「患者さん」とフラットに戻すからこそ、その土台となる基本的な振る舞いが決定的な意味を持ちます。
多くの患者は、心に不安や「分からないこと」への苛立ちを抱えています。 その状態で、スタッフが目を合わせず事務的な対応をしたらどう感じるでしょうか。 「無視された」「軽視された」というネガティブな感情が先に立ち、一度「感情のスイッチ」が入ってしまうと、その後の正しい説明も相手の心には届かなくなります。 ハラスメントは、まさにこの「心の隙間」から忍び寄ってくるのです。
【2】無意識の天秤が生む「心の安全保障」
私は福岡県警での37年間、戸畑警察署長(Chief of the Tobata Police Station)を務めるなど、数えきれないほどの「対人トラブル」の現場を統括してきました。 その経験から確信しているのは、人間の感情には「無意識の天秤(てんびん)」があるということです。
スタッフ側が「配慮」を提供したとき、患者の心の中では無意識のバランス調整が行われます。
1.挨拶:相手の存在を認め、受け入れる最初の意思表示 2.笑顔:敵意がないことを示し、心理的障壁を下げるシグナル 3.アイコンタクト:誠実に話を聞き、向き合っているという信頼の証 4.声かけ:相手の状況を察し、先手を打って不安を解消する能動的配慮
これらの要素が揃っているとき、患者は「自分の状況を理解しようとしてくれている」と感じます。 すると、たとえ待ち時間が長くても、攻撃的なハラスメントに発展するリスクは劇的に低下します。 接遇の徹底は、相手の攻撃性を事前に無効化する、極めて実戦的な「組織防衛術」なのです。
【3】ハラスメントを「起こさせない環境」の設計
真に優れた設計とは、そもそも「ハラスメントが起こる理由をなくす」ことです。
私が設立した「柴田ガバナンス研究所(SHIBAKEN Co., Ltd.)」では、現場の「空気の設計」を重要視しています。 挨拶や笑顔は単なる「親切」ではなく、職場の安全を守るための「実務」です。
例えば、しっかり目を合わせる(アイコンタクト)だけで情報の伝達精度は飛躍的に高まり、誤解によるトラブルを未然に防げます。 また、適切な「声かけ」は患者の孤独感を和らげ、ハラスメントという「刃」を、協力という「手」に変えるきっかけになります。 結局のところ、これらはあらゆる人間関係における普遍的な基本なのです。
【4】プロフェッショナルとしての「主導権」を握る
私は警察人生を通じ、また現在は看護専門学校の講師としても、組織における規律とコミュニケーションの重要性を説いてきました。 接遇における基本動作も、組織の共通ルールとして徹底されるべきです。
それはスタッフを「不安定な個人の機嫌」から解放し、「プロとしての振る舞い」という確かな基準で守るためでもあります。 一方通行の作業ではなく、相手の反応を捉えながら進める「双方向」のコミュニケーション。 これこそが、不当な圧力を寄せ付けない土台となります。
笑顔や挨拶は相手に屈することではありません。 むしろ、自分たちがプロとして状況をコントロールし、最善の医療を提供するための「主導権」を握るための行為なのです。
■結びに:誇り高き医療現場を、共に創る
「安心(あんしん)」な現場を、皆さまと共に「安進(あんしん)」……安らかに、一歩ずつ未来へ進んでいけるように。
挨拶、笑顔、アイコンタクト、そして声かけ。これら四つの鍵を意識的に使いこなすことで、現場の空気は必ず変わります。 患者の不安を和らげ、同時に皆さま自身の誇りと安全を守る。 その一歩は、明日交わす最初の一言から始まります。
現場の皆さまが「今日も一日、無事に働けた」と実感できる。そんなワンダフルな環境づくりを、私はこれからも全力でサポートさせていただきます。
福岡の医療現場に、揺るぎない安全と、満開の笑顔が戻るその日まで。
【ご相談・お問い合わせ】 「接遇を組織的な防衛戦略として定着させたい」「現場の空気を変える具体的な研修を相談したい」など、どのようなことでもお気軽にご相談ください。 具体的なケースでお困りの方は、「柴田ガバナンス研究所」公式ホームページのお問い合わせフォームよりご連絡をお待ちしております。元警察署長としての実戦的な知見を、皆さまの現場のために全力を尽くして活用させていただきます。
事案分析と解決の設計士 柴田 建一(シバケン)
