【組織防衛】院長が持つ「最強の盾」を使いこなせ。 ― 迷惑行為を完封する『施設管理権』の法的設計図

皆さま、こんにちは。事案分析と解決の設計士、シバケンこと柴田建一です。

2026年5月。初夏の爽やかな風が吹く福岡の街では、人生の第4クォーターを全力で走る63歳の私が、今日も地域の医療安全を支える「司令塔」として知略を巡らせております。

私は37年間の警察官人生において、戸畑警察署長などの重責を担い、数多の「現場」で秩序を維持してきました。現在はその経験を武器に、医療機関の皆さまが安心して職務に専念できる環境を設計するアドバイザーとして活動しています。

本日は、多くの院長先生がその真の威力に気づいていない、しかし知れば「最強の防波堤」となる「施設管理権」について、深く、そして実戦的に解析してまいります。

【1】「施設管理権」という、目に見えない強大な武器

「施設管理権」という言葉自体は、法律の条文に直接明記されているわけではありません。しかし、これは法的に確立された極めて強固な権限です。

その根拠は、民法に定められた「所有権(物権)」にあります。 自分の持ち物をどのように使い、誰を入れ、どのようなルールを課すか。これは所有者が独占的に決定できる権利です。病院やクリニックという施設においても、院長(経営者)はその場所を「安全かつ円滑に運営する」ために、立ち入る者に対してルールを課す包括的な権限を持っているのです。

ハラスメント対策を考える際、私たちはこの「施設管理権」を、組織を守るための「標準装備の武器」として再認識しなければなりません。

【2】現代の脅威:無断撮影・録音という「情報のハラスメント」

最近、現場から最も多く寄せられる相談の一つが、患者による「無断での写真撮影・動画撮影・録音」です。

もちろん、合理的な理由や必要性があれば、院長の判断で許可を出すことは可能です。しかし、無秩序な撮影は以下のような甚大なリスクを引き起こします。

1.情報の切り取りと不当な拡散 ・説明の一部だけを切り取り、悪意を持ってネット上に公開・拡散されることで、病院の社会的信用が失墜する恐れがあります。 2.職員のプライバシーと平穏な業務の阻害 ・職員の顔や名前が無断で記録されることは、深刻な心理的圧迫となり、平穏な医療活動を妨げます。 3.他の患者への迷惑 ・静寂であるべき医療空間において、撮影行為そのものが周囲の不安を煽り、秩序を乱します。

こうした事態を防ぐため、施設管理権に基づき「当院のルールとして撮影・録音は一律お断りする」と決定することは、院長の正当な権利であり、責務でもあります。

【3】「看過」は「許可」と同じ。初期対応の重要性

施設管理権を行使する上で、最も注意すべきなのは「決断のタイミング」です。

多くの現場では、「少し様子を見よう」「いよいよ業務に支障が出てから言えばいい」と先延ばしにしがちです。しかし、設計士の目から見れば、これは極めて危険な「設計ミス」です。

一度その行為を黙認(看過)してしまうと、法理上「黙示の許諾(暗黙の了解)」があったとみなされかねません。「今までは黙っていたのに、なぜ今更ダメだと言うんだ」という、相手の不当な反論に油を注ぐ結果になります。

「おかしい」と思った瞬間に、毅然と申し向けること。 初期段階で「当院ではお断りします」と一線を引くことが、事態の急展開を防ぐ唯一の道です。

【4】事前の「視覚化」が、法的な盾を強固にする

口頭での注意をより確実なものにするために不可欠なのが、「院内の表示(ポスターなど)」と「規定の作成」です。

あらかじめ「当院の敷地内での無断撮影・録音は禁止です」というポスターを目立つ場所に掲示し、院内規定に明記しておくこと。これが施設管理権を「見える化」させ、トラブル時の強力な法的根拠となります。

「ここに書いてある通り、ルールに従っていただけない場合は退出をお願いします」 この一言が言えるかどうかが、組織防衛の成否を分けます。

【5】警察署長が見た、警察連携の「真実」

私がかつて、病院と交番所の橋渡しをした際の実話をお話ししましょう。

病院側が「困った患者がいる」と相談に行った際、警察官から非常に心強い指導をいただいたことがあります。 「先生、病院の方でまずは一言、『大きな声を出すのをやめてください』『撮影はやめてください』とはっきり言ってください。その拒絶の意思表示があれば、あとは我々警察が何とかします」

これは警察実務の核心を突いています。 警察が介入するためには、管理者がルール(施設管理権)に基づき、明確に「NO」を突きつけているという事実が必要です。管理者の指示に従わず居座り続ければ、それは刑法の「不退去罪」などの適用範囲となります。

つまり、皆さまが「施設管理権」という武器を正しく使い、毅然とした態度で意思表示をすることこそが、警察という強力な援軍を動かすための「スイッチ」になるのです。

【6】「静寂」もまた、施設管理権の一部である

施設管理権の適用範囲は撮影だけではありません。 「院内では静粛にしてください」「暴言はやめてください」といった、医療環境の平穏を保つためのあらゆる指示が、この権利の中に含まれます。

病院は、病と闘う患者と、それを支えるプロが集う「聖域」です。その平穏を乱す者に対して、施設管理権を行使して退去を命じることは、決して冷淡なことではありません。むしろ、他の善良な患者と懸命に働くスタッフを守るための、最も誠実なガバナンスの形なのです。

■結びに:この大きな武器を、大いに使おうではありませんか

「施設管理権」という言葉は少し難しく聞こえるかもしれません。しかしその本質は、「自分たちの城を自分たちで守る正当な権利」です。

「安心(あんしん)」な現場を、皆さまと共に「安進(あんしん)」……つまり、安らかに一歩ずつ未来へ進んでいけるように。 この強大な権限を正しく理解し、毅然とした対応を持って、ペイシェントハラスメントという荒波から皆さまの職場を死守しましょう。

勇気を持って一線を引く。その一歩が、職員の誇りを守り、最高の医療を提供する土台となります。

ワンダフル! な安全環境の実現に向けて、私はこれからも設計士として、皆さまの背後を全力で守り続けます。


【ご相談・お問い合わせ】 「院内の撮影禁止ポスターの文言や、具体的な対応マニュアルを策定したい」「施設管理権を行使するための組織体制を整えたい」など、どのようなことでもお気軽にご相談ください。 具体的なケースでお困りの方は、「柴田ガバナンス研究所」公式ホームページのお問い合わせフォームよりご連絡をお待ちしております。元警察署長としての実戦的な知見をもって、全力で皆さまの後ろ盾となります。

事案分析と解決の設計士 柴田 建一(シバケン)


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