【ハラスメント対策】「お前、名前を言え!」の呪縛を解く。 ― 医療従事者をSNSの刃から守る、国が認めた『職員保護の防衛戦略』

皆さま、こんにちは。事案分析と解決の設計士、シバケンこと柴田建一です。

博多の街は、雨はつきものと言え、昨日からの荒れた天候から一転して「どんたく」一色に染まります。人生の第4クォーターを全力で走り抜ける63歳の私ですが、初夏の爽やかな風を感じつつも、医療現場から届く「現場の叫び」を解決するための設計図を、今日も熱く描き出しております。

本日は、多くの医療機関で長年の「絶対的な常識」とされてきた「名札・名乗り」について、根本的な意識改革を提案します。

「名前を名乗るのはマナーだ」「名札は名字を出すのが当たり前だ」――そんな固定観念が、今のSNS社会において、どれほど職員を危険に晒しているか。本ブログが、皆さまの病院における「安全管理」と「ハラスメント対策」の最適解を模索する、大きな問題提起の機会となれば幸いです。


1.「名札=フルネーム」という常識の成り立ちと、その功罪

かつて、日本の医療現場において名札の着用が厳格化された背景には、医療事故防止という尊い目的がありました。

2000年代初頭、医療ミスが社会問題化したことを受け、厚生労働省は2001年(平成13年)に「医療安全推進総合対策」を通知しました。

■ 医療安全推進総合対策(2001年通知)の主旨 医療従事者の氏名を掲示することで責任所在を明確にし、患者との誤認を防止し、コミュニケーションを円滑にすること。

この通達以降、病院内でフルネームの名札をつけることは「プロとしての当然の義務」となりました。確かに、患者に対して「誰が責任を持って対応しているか」を示すことは、信頼関係の第一歩です。しかし、この20年以上前の「常識」が、現在のSNS社会においては、職員を追い詰める刃(やいば)にもなり得ているのです。


2.主戦場は「電話」にあり:姿の見えない相手からの攻撃

現場の状況を分析すると、「お前、名前なんて言うんだ?」「フルネームで言わんか」という要求が最も頻発するのは、実は対面ではなく「電話応対」の場です。

  • 電話による心理的圧迫: 相手の顔が見えない分、攻撃的になりやすく、名前を聞き出すことで相手を畏縮させ、自分の要求を優位に進めるための「武器」として悪用されます。
  • 面前でのリスク: 一方、面談時に名前を厳しく問い詰められるのは、初めての患者である場合や、すでに明らかなハラスメント行為、あるいは身の危険を感じるような「極めて限られた危険な状況」であることが多いのが特徴です。

いずれにせよ、名前を執拗に問う行為の多くは、信頼構築のためではなく、後にSNSで特定したり、マウントを取ったりするための「攻撃の足がかり」として使われているのが現実です。


3.国の方針は変わった! 厚労省「最新通達」が認める柔軟性

「名札は実名でなければならない」という思い込みを覆す、強力な根拠がすでに国から示されています。ここが意識改革のスタート地点です。

  • 厚生労働省の最新指針(2024年3月27日通知): カスタマーハラスメント対策の一環として、職員のプライバシー保護の観点から、名札の表記を「名字のみ」や「職員番号(記号・数字)」とすることを認めています。
  • 「その他適切な措置」という鍵: 通達の中には「その他適切な措置」という文言が含まれています。これは、一律のルールに縛られるのではなく、各病院の判断で柔軟にバリエーション豊かな対策を講じて良いという、国からのお墨付きです。

組織として、誰が対応したかを内部記録(カルテや応対ログ)で後から確実に追跡できる体制さえ整っていれば、患者に実名を晒し続ける必要はない、という明確な判断が示されたのです。


4.ペイシェント・ハラスメント対策としての「名前問題」の再設計

「適切な措置が可能である」という根拠がある以上、私たちは業務の特性に応じた「グラデーション設計」を行うことができます。

① 電話応対における「記号・番号」の導入

最もリスクの高い電話応対では、名字すら名乗らず「担当番号〇〇が承ります」という運用が可能です。これにより、名字からのSNS特定を物理的に遮断します。

② 面前でのリスク管理

初診時や不穏な動きを見せる患者に対しては、名札を一時的に伏せる、あるいは特定の「ID名(内部照合用の呼称)」を名乗るなどの工夫が検討の余地として挙げられます。

③ 職種・部門に応じた切り替え

不特定多数と接する受付は「完全番号制」、継続的な治療を行う現場は「名字のみ」など、その部門に最適な「適切な措置」を組み合わせることが、現代のガバナンスです。


5.今こそ必要な「意識改革」と「問題提起」

本ブログの趣旨は、単に対策を提示することではありません。「名札は名字やフルネームでなければならない」という旧来の固定観念を問い直すことです。対策を検討できる社会的環境は整っているのです。

  • 「名前を言わない=不誠実」という呪縛を解く: 職員を守ることは、結果として患者に質の高い医療を提供し続けることに繋がります。
  • バリエーション豊かな対策の検討: 「うちの病院では、どの部門で、どのような『適切な措置』を取るべきか?」という議論を始めること。その一歩が、職員の不安を解消し、誇りを持って働ける現場を創るのです。

医療の根幹である「信頼関係」を大切にしつつ、現代のSNSリスクという刃から職員をどう守るか。厚労省の通達という「根拠」を盾に、今こそ柔軟な対策を検討すべき時期に来ています。


結びに:ワンダフル!な解決への道筋を、共に創るもの

「お前、名前を言え」という言葉に、一職員が孤独に怯える時代は終わりました。 37年間の警察官人生の中で、私は署長として、個人の勇気に頼る組織の限界を見てきました。名前一つが凶器に変わる今の時代だからこそ、組織が仕組みで職員を守らねばなりません。

厚労省の通達を正しく理解し、今こそ「常識」を疑い、皆さまの病院に最適な「防衛の設計図」を描いてみませんか。職員が安心して笑顔で働ける環境こそが、患者にとって最も信頼できる医療の場となるはずです。

福岡の医療現場が、信頼と安全の理想的なバランスを築けるよう、私はこれからも皆さまの「司令塔」として全力でサポートさせていただきます。


【ご相談・お問い合わせ】 「名札の表記変更や電話応対のルール化について、自院に最適なルールを策定したい」「ハラスメント対策を具体的に進めたい」など、どのようなことでもお気軽にご相談ください。

具体的なケースでお困りの方は、「柴田ガバナンス研究所」公式ホームページのお問い合わせフォームよりご連絡をお待ちしております。元警察署長としての実戦的な知見をもって、全力で皆さまの後ろ盾となります。

事案分析と解決の設計士 柴田 建一(シバケン)

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次