「小さな違和感」は悲劇のプロローグ。元警察署長が説く、現場を守るための「断固たる設計図」

皆さま、こんにちは。事案分析と解決の設計士、シバケンこと柴田建一です。

2026年5月。博多の街を熱く染めた「どんたく」の喧騒が過ぎ去り、初夏の爽やかな風が吹き抜ける季節となりました。人生の第4クォーターを全力で走り抜ける63歳の私ですが、今日も地域の医療ガバナンスを守る「司令塔」として、現場の皆さまと共に知略を巡らせております。

「またあの患者さんが理不尽なことを言っているけれど、いつものことだから適当に謝っておこう」 「なんだか嫌な予感はするけれど、大事にするのも面倒だから、今は黙って聞いておこう」

医療現場の最前線で働く皆さま、こうした「小さな違和感」を、その場限りの妥協でやり過ごしてはいませんか?私は37年間の警察官人生、そして現在の医療ガバナンスの現場で、嫌というほど見てきた真実があります。

それは、「すべての取り返しのつかない大事件は、放置された『小さな予兆』の積み重ねから始まっている」という冷徹な事実です。

今日は、国内で起きた悲惨な事件を「事案分析」の視点で解き明かし、私たちが今、どのような覚悟を持って現場を「設計」すべきかをお話しします。


目次

1. 悲劇のプロローグは、常に「小さなこと」の中にあった

私たちは、国内で起きた二つの痛ましい事件を、単なる「運が悪かった災難」として片付けてはなりません。設計士の目から見れば、そこには惨劇を食い止めるための「予兆」が明確に存在していました。

  • 【ケース①】関東での在宅医銃撃事件 犯人は事件を起こす前から、地域の病院等に対して執拗に理不尽なクレームを繰り返していました。当初は「小さなこと」に見えたかもしれませんが、その段階で情報を共有し、毅然と一線を引けていれば、猟銃という最悪の凶器にまで育つことはなかったはずです。
  • 【ケース②】福岡の総合病院における医師刺傷事件 事件のわずか1時間前、医師と男の間で激しい口論がありました。この時点で、それはすでに「診察」ではなく明確な「ハラスメント」であり、重大な予兆でした。「空白の1時間」で初期対応を「小さなこと」として流さず、組織的な対応に切り替えていれば、悲劇は回避できた可能性があります。

2. その場しのぎの「回避」が、事態を急展開させる

なぜ「小さなこと」が短時間で「大きなこと」へ化けてしまうのか。そこには、現場特有の「とりあえず収める」という付け焼き刃の対応が潜んでいます。

波風を立てたくない一心での妥協は、加害者に「粘れば思い通りになる」という間違った確信を与えるだけです。悪徳業者の世界と同じく、一度「カモ」と認識されればさらなる攻撃を呼び込みます。担当者個人の忍耐に委ねられた事案は、水面下で急激に膨らみ、ある日突然、誰にもコントロールできない大事件へと急展開するのです。


3. 危機を「完結」させる勇気と、組織の連動

私たちが持つべき武器は、「危機察知力」「組織の一体感」です。

① 「人」と「内容」の両面から危機察知力を研ぎ澄ます

危機察知力とは、単なる「警戒」ではなく、「誰が」言っているのか、そして「何を」求めているのかをケースバイケースで見極める力です。

  • 「人」に着目する場合 長年の信頼関係が構築されている相手であれば、言動の予測が立ち、対処法も自ずと決まってくるでしょう。しかし、真に強力な危機察知力を働かせるべきは、「どういう人物か分からない相手」や、職場環境を害するほどではなくとも「微細なクレームを執拗に繰り返す傾向がある相手」です。こうした「予測不能な火種」を感じさせたなら、たとえ小さな事柄であっても、その芽のうちに摘み取る決断をしなければなりません。
  • 「内容」に着目する場合 相手が誰であれ、その要求が医学的合理性を著しく欠いていたり、個人の主張があまりにも身勝手で理不尽であったりする場合、それはもはや「要望」ではなく「攻撃」です。

「人」に不安がある、あるいは「内容」が常軌を逸している。この直感を信じ、勇気を持って話を打ち切り、その場で事案を「完結」させる。この早期決断こそが、将来の命を守る最も合理的な解決策となります。

② 院長・幹部によるガバナンスの確立

現場が勇気を持って「NO」と言うためには、病院幹部の意識改革が不可欠です。現場が個人で抱え込み、組織で共有されない状態こそが、最も危険な「城の欠陥」です。幹部が現場の痛みを共有し、組織として一貫した対応を指示する一体感こそが最強の防波堤となります。

③ ルールを「守る」ことが「守られる」ことに繋がる

医療者としての説明義務を尽くし、適切な手順で対応を積み重ねる。こうしたプロフェッショナルとしての実績があるからこそ、私たちは警察や法律を堂々と味方につけ、組織の正当性を主張できるのです。


4. 「人の支配」ではなく「仕組み」で戦う

ルールがない組織を待っているのは、声の大きい者がすべてを決める「人の支配」です。暴力団の世界がまさにそうです。そこには信頼も文化もなく、理不尽な恐怖しかありません。病院という組織が、加害者の「支配」を許してはなりません。組織全体が共通のルールに基づき、誰が対応しても同じように毅然とした態度を取れる仕組み(ガバナンス)を構築すること。それが職員の安心を守る唯一の道です。


5. 結びに:勇気ある一歩が、病院の未来を救います

「警察を呼ぶのは大げさだ」という心情はよく分かります。しかし、世間体よりも「職員の安全」を最優先して一線を引く勇気があれば、救われていた命があったかもしれません。

「予測できない相手」や「身勝手すぎる要求」という小さな違和感を見逃さないでください。毅然とした対応とは冷たさではなく、現場の尊厳を守るための「究極の誠実さ」です。組織一体となって事案を早期に完結させる。その積み重ねが、二度と悲劇を繰り返さない「不落の城」を築くのです。

ワンダフル!な解決への道筋は、皆さまの「一歩踏み出す勇気」から始まります。


【ご相談・お問い合わせ】 「現場のトラブルを共有する仕組みを作りたい」「警察との連携基準を策定したい」など、どのようなことでもお気軽にご相談ください。 具体的なケースでお困りの方は、「株式会社柴田ガバナンス研究所」公式ホームページのお問い合わせフォームよりご連絡をお待ちしております。元警察署長としての実戦的な知見をもって、全力で皆さまの後ろ盾となります。

事案分析と解決の設計士 柴田 建一(シバケン)

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