皆さん、こんにちは! シバケンこと柴田建一です!博多どんたくの熱気が心地よい疲れに変わる5月、福岡の街は初夏の爽やかな風が吹き抜けていますね。
前回の「仕組みに魂を吹き込む」というお話に続き、今日は具体的な「戦術」についてお話ししましょう。題して「限定謝罪の極意」。
さて、今日のテーマは、医療現場で最も多く、かつ最も危険な「あの言葉」についてです。 題して、「限定謝罪のススメ —— その『すいません』、安売り厳禁につき!」。
1. なぜ、私たちは反射的に「すいません」と言ってしまうのか?
医療現場を回っていると、本当にあちこちから「すいません」「申し訳ございません」という声が聞こえてきます。 もちろん、礼儀正しいのは素晴らしいことです。日本人の美徳と言ってもいいでしょう。
しかし、危機管理の面から言えば、この反射的な「すいません」は、時として「猛毒」になります。
特に相手が「ハラスメント気質」の患者さんの場合、皆さんの「すいません」は、彼らの耳にはこう変換されて届いています。
「あなたがおっしゃる通り、100%うちが、そして私が悪うございました。これからは、あなたが何を言っても、どんな要求をしても、私は一切反論せずに受け入れます」
……どうですか? 恐ろしくありませんか? 皆さんは「その場を丸く収めたい」という一心で言った言葉が、相手にとっては「勝利宣言」の合図になり、あなたに対して「白紙委任状(何でも言うことを聞くという約束)」を渡したのと同じことになってしまうんです。
これこそが、まさに「反射的(はんしゃてき)」な謝罪が、「反社会的(はんしゃてき)」**な態度を助長するという……おっと、これは少し言い過ぎましたかね(笑)。
2. カスハラ患者の「学習能力」をなめてはいけない
私は37年間、警察官として多くの「加害者」を見てきました。彼らには共通する行動原理があります。 それは、「どこを突けば、自分の思い通りになるか」を常に探っているということです。
ハラスメント患者は、一度「大きな声を出せば謝ってもらえる」「文句を言えば特別扱いしてもらえる」と学習すると、その行動パターンを強化します。 心理学で言うところの「オペラント条件付け」ですね。
- 患者が怒鳴る(行動)
- スタッフが「すいません!」と平謝りする(報酬)
- 患者は「怒鳴れば思い通りになる」と学習する(強化)
このループが出来上がると、もう止まりません。 皆さんはリカバーのつもりで謝っているのに、実は「モンスター患者を育成するトレーナー」になってしまっているんです。
「やかましく言えば、この病院は必ず謝るぞ。マウントが取れるぞ」 そう思われたら、その後の診療は地獄です。彼らは「謝罪(しゃざい)」を求めてくるフリをして、皆さんの「心(こころ)」を「砕(くだ)き」に来る。まさに「謝罪(しゃざい)」で「砕(くだ)ける」……これ、笑い事じゃありませんよ!
3. 「限定謝罪」という最強の盾
では、どうすればいいのか。 警察官37年の経験と、人間心理、そして医師会でのアドバイザー実務から導き出した答えが、「限定謝罪(げんていしゃざい)」です。
限定謝罪とは、「何に対して謝っているのか」を明確に切り分ける謝罪のことです。 官公庁やマスコミが言うような「とにかく誠意を!」という「きれいごと(きれーいな事)」は一度横に置いておきましょう。
限定謝罪の基本ルール
- 事実(うちのミス)があれば、その「事実」に対してのみ謝る。
- 事実(うちのミス)がなければ、相手の「主観(不快な思い)」に対してのみ謝る。
- 「自分自身が悪い」という謝罪は絶対にしない。
例えば、お待たせしてしまった場合。 ×「お待たせしてすいません。私が手際が悪くて……申し訳ございません」 ○「お待たせしてしまった事実について、お詫びいたします。お急ぎのところ不快な思いをさせてしまい、申し訳ありません」
この違い、分かりますか? 前者は「私が悪い」と全面降伏していますが、後者は「待たせたという現象」と「相手が不快に思ったという感情」に対してのみ謝っています。
4. シバケン流・シーン別「限定謝罪」の具体的フレーズ
皆さんが今日から使える、具体的で血の通った「選択肢」を提示します。
ケースA:事実確認がまだできていないのに、患者が怒鳴り込んできた時
ここで「すいません」と言うのは最悪です。まだこちらが悪いか決まっていないからです。 シバケン・フレーズ: 「〇〇様がそのようにお感じになられたこと、また、そのことで今大変お怒りであるということについては、私どもとしても心苦しく、申し訳なく思っております。まずは何が起きたのか、事実を確認させていただけますか?」
これなら、「謝った」という既成事実を作りつつも、「非を認めた」ことにはなりません。 相手の「怒り(いかり)」に対しては「遺憾(いかん)」の意を表す。まさに「いかり」を「いかん(行かん)」ように食い止めるわけです!
ケースB:明らかなこちらのミス(例えば案内の間違い)があった時
シバケン・フレーズ: 「予約の時間を10時とお伝えしてしまった点については、こちらのミスです。申し訳ございません。 ですが、それをもって〇〇様がスタッフに大声を出して良いということにはなりません。今後は適切な言葉遣いでお願いできますでしょうか」
ミスについては「限定的」に認め、即座に「不当な態度」に対してNOを突きつける。これがプロの危機管理です。
ケースC:言いがかりや理不尽な要求に対して
シバケン・フレーズ: 「私どもの対応で、〇〇様をご不快な気持ちにさせてしまったことについては、お詫びいたします。しかしながら、その要求にお応えすることは致しかねます」
謝るのは「相手の気持ち」に対してだけ。これが究極の「限定謝罪」です。
5. 組織としての「安心・安全」を守るために
医療法人の理事長、院長の皆さん。そして、今この瞬間も「すいません」の波に飲み込まれそうなスタッフの皆さん。
「謝れば解決する」というのは、平和な時の理論です。 ハラスメントという名の「有事」においては、謝り方は戦い方そのものです。
皆さんが毅然とした「限定謝罪」を徹底することで、病院全体に「理不尽なマウントは通用しない」という防波堤が築かれます。 一人のスタッフが「すいません」を安売りしないことが、結果として病院全体の安全・安心を守ることにつながるんです。
「そんなこと言っても、相手がもっと怒ったらどうするんだ!」 ……その時は、私、シバケンの出番です。 37年の警察経験をフル回転させて、その状況をどう切り抜けるか、具体的なB案、C案を一緒に考えましょう。
経済工学の視点でリスクを測り、人間心理を読んで相手を制する。 そこに少しのダジャレという名の「潤滑油(じゅんかつゆ)」を。 「潤滑油(じゅんかつゆ)」を塗っておけば、トラブルも「ズルッ」と滑って解決……なんてね!
理屈だけのきれいごとは、もう終わりにしましょう。 スタッフの皆さんが、不当なマウントに怯えることなく、本来の医療に専念できる環境を作る。それが「福岡医療カスハラ研究所」の、そして柴田建一の使命です。
さあ、今日からは「とりあえずの、すいません」を卒業して、「戦略的な、限定謝罪」を! 皆さんの誇りある仕事、私が全力で守り抜きます。
それでは、また次回のブログでお会いしましょう。 福岡の医療現場に、幸あれ! シバケンでした!
