皆さま、こんにちは。事案分析と解決の設計士、シバケンこと柴田建一です。
2026年、新緑が眩しい季節となりましたが、医療現場の皆さまの心は晴れやかでしょうか。日々、患者さんのために最前線で格闘する皆さまへ、今日は「言葉の護身術」について、私の実体験に基づいた最強の設計図をお示ししたいと思います。
診察室や受付で、相手が突然声を荒らげて、こう迫ってきたら皆さまはどうされていますか?
「責任を取ってもらいますよ。おい、責任を取れよ!」
このセリフを投げかけられた瞬間、多くの職員は内心でドキッとし、たじろいでしまいますよね。「なんとか相手をなだめなければ」「これ以上怒らせてはいけない」という心理に追い込まれ、言葉を選びながら慎重に説明を続けようとしてしまうものです。
しかし、知っておいてください。その「たじろぎ」や「不安な表情」こそが、ハラスメント加害者の大好物なのです。
1. 元刑事の回想:悪質なクレームを入れる者ほど「責任」を口にする
実を言いますと、私は37年間の警察官人生、特に刑事をしていた頃、こうしたセリフを耳にタコができるほど聞いてきました。
悪質な犯罪者や、警察に対して不当なクレームを突きつけてくる者たちは、決まって「お前、これ責任取ってもらうぞ!」と凄んできます。
彼らの目的はたった一つ。 こちらを威圧し、心理的な動動(動揺)を誘って、自分に有利な状況を引き出すことです。
彼らは、相手が少しでも「すみません……」と口ごもったり、不安そうな表情を見せたりするのをじっと待っています。そこで「弱み」を見つけた瞬間に、さらに激しく畳みかけてくるのです。
しかし、私はそんな時、あらかじめ準備していた「ある対応」で何度も彼らを黙らせてきました。
2. まずは毅然と、自信を持って返す「魔法の言葉」
相手が「責任を取れよ!」と迫ってきたとき、私は一度もたじろいだことはありません。むしろ、間を置かずに、一点の曇りもない自信に満ちた表情でこう答えてきました。
「はい。私は、ルールに基づいた責任は、きっちりと取らせていただきます」
このセリフを、相手の目を真っ直ぐ見て、凛とした声で返すと何が起こるか。 驚くべきことに、それまで吠えていた相手は、ほぼ例外なく何も言えなくなります。
彼らが期待していた「相手の動揺」という反応が得られないどころか、むしろ「責任を取る」と断言されたことで、肩透かしを食らったような格好になるのです。中には、「……ほう、なかなかやるな」という、どこかこちらの覚悟を認めたような、妙な納得感を見せて次の話題に移っていく者さえいました。
ハラスメント(加害者)に、こちらの心の「せき(堰)」を崩されてはいけません。ルールという名の「せき(席)」に、堂々と腰を下ろせばいいのです! ……おっと、シバケン流のジョークです。しかし、まさにこの「取り乱さないこと」こそが、相手の戦意を削ぐ最高の防御になります。
3. 「責任」を主観から「客観的プロセス」へと移し替える
「責任を取ります」と言い切った後、現場では相手が「どう取るんだ!」とさらに食い下がってくることもあるでしょう。ここで理解しておくべきなのが、私たちが語る「責任」の定義です。
私たちが取るべき責任とは、患者個人の主観的な怒りや理不尽な要求に応えることではありません。あくまで「ルールと法律に基づいた責任」です。
相手に反論されたら、以下のような趣旨を含めて説明を組み立てる準備をしてください。
- 「私どもが果たすべき責任とは、社会的なルールや法令、行政の指導に基づいたものです」
- 「もし、私どもの対応に不備があったと公的に判断された場合には、その内容に即して誠実に責任を果たします」
- 「具体的には、行政による事実確認や指導が入った場合、あるいは弁護士などの専門家を介した協議によって責任の所在が明らかになった場合、それらに基づいてきっちりと対応させていただきます」
この理屈をあらかじめ腹に落としておけば、相手がその場でどんなにマウントを取ろうとしても、土俵を「感情のぶつかり合い」から「客観的な事実確認のプロセス」へ強制的に移すことができます。
相手は自分が裁判官になったつもりで「責任」という言葉を振り回しますが、私たちは「それを決めるのはあなたではなく、第三者の公的な場です」という一線を、毅然と守り抜く。これこそが、私が警察人生で何度も実証してきた、言葉の護身術の本質です。
4. ハラスメント対応マニュアルという名の「組織の鎧」
こうした毅然とした対応を、現場の職員がアドリブで行うのは非常に困難です。私が警察官として何度もこの言葉を使えたのは、あらかじめ「こう言われたら、こう返す」という設計図を自分の中に持っていたからです。
だからこそ、病院全体で「よくあるフレーズ」に対する標準的な回答例を共有し、徹底的に練習しておく必要があります。
勉強会やミーティングで繰り返し行うべきは、単なるマニュアルの朗読ではなく、「表情を変えずに、自信を持ってフレーズを口にする」というロールプレイング(模擬練習)です。
- 「責任を取れ!」と言われたら
- まずはたじろがず、自信を持って
- 「ルールに基づいた責任は取ります」と返す
この一連の流れを、受付から医師まで、すべての職種が「迷いなく」実行できる状態。それこそが、どんな悪質なハラスメントも寄せ付けない、強固なガバナンスの姿です。
マニュアルは、ただの紙ではありません。それは、現場の職員が「もし何かあっても、あの通りに返せば組織が守ってくれる」と確信するための、心理的な「盾」なのです。
5. 明日からの現場を「不落の城」にする決断
多くの医療現場を訪問して感じるのは、ハラスメント被害が深刻化する病院ほど、初期段階で「毅然と対応すること」を躊躇(ちゅうちょ)してしまっているという点です。
「大げさにしたくない」「これ以上怒らせたら怖い」 その不安が、加害者の攻撃を加速させます。しかし、私が警察の現場で見てきたように、毅然とした態度は相手への強力な「警告」になります。
「この病院の職員は、一筋縄ではいかない。ルールという確固たるバックボーンを持っている」
相手にそう思わせることができれば、それは最高のリスク管理になります。皆さまに伝えたいのは、「自信を持って振る舞うことは、自分たちと、他の多くの善良な患者さんを守るための誠実な義務である」ということです。
ハラスメント加害者は、皆さまの「不安」につけ込んできます。しかし、私たちが「ルールに基づいた責任」という言葉を、凛とした態度で使いこなせれば、その攻撃はすべて跳ね返すことができます。
結びに:ワンダフルな解決は、自信に満ちたその一言から
「責任」という言葉は、本来、医療という尊い仕事に従事する皆さまの誇りを象徴する言葉です。それを誰にも攻撃の道具として使わせてはいけません。
相手の言葉にたじろがず、自信を持って、ルールを背負って答える。 その一瞬の決断が、皆さまを守り、職場を守り、そして医療の質を守ります。
事実を記録し、理論で武装し、組織一丸となって立ち向かいましょう。皆さまが、一言の重みに怯えることなく、凛とした姿で現場に立ち続けられるよう、私はこれからも知略を尽くして皆さまの設計図を支え続けます。
ワンダフル! な職場環境の構築に向けて、今日から自信を持って「責任を取ります」と言い切れる準備を始めていきましょう。
【執筆者プロフィール】 医療安全ガバナンスの専門家:シバケン(柴田建一) 元福岡県警刑事として、法の適用・解釈・執行を強力に推進するとともに、組織のリスクマネジメントに尽力。財務省・国税庁への出向経験も踏まえ、現在はこれまでの確かな実績と専門知識を活かし、医療機関の安全対策や組織マネジメントを強力に支援しています。
院内の安全管理やハラスメント対策、ガバナンス体制構築にお悩みの際は、どうぞお気軽にご相談ください。
