はじめに:ついに動いた法律と、変わらない現場の苦悩
2026年10月1日、ついにカスタマーハラスメント(カスハラ)対策に関する改正法が施行されました。社会全体でハラスメントを許さない機運が高まる中、これは医療現場にとっても非常に大きな転換点となります。
しかし、法律が施行されたからといって、今日から突然ネット上の悪意が消え去るわけではありません。昨今、病院やクリニックに対するSNSでの誹謗中傷や、Googleマップなどの口コミサイトでの心無い書き込みに頭を悩ませる医療機関は依然として増え続けています。
「事実無根の悪口を書かれた」「スタッフの容姿を中傷された」——。 朝、出勤前に何気なくスマートフォンを開き、自院への心無い口コミを目にして心拍数が上がり、一日中重い気分で業務にあたらざるを得ない。そんなご相談は、私が医療安全対策支援アドバイザーとして現場を回る中で最も多く寄せられる、切実で痛切な悩みの一つです。
法整備が進んだ今、組織としてどうスタッフを守るのか、具体的な姿勢がこれまで以上に問われています。このブログを読むことで、単なる「専門家への相談」で終わらない具体的な対策がわかります。さらに、悪質な書き込みに対して警察や弁護士を効果的に動かす実践的な手法も手に入れることができます。
日夜患者さんのために尽力する医療スタッフの心と尊厳を守るための「適度なスルー」と「看過できない一線の引き方」について、一歩も二歩も踏み込んで詳しくお伝えします。
なぜ病院のSNS対策は「専門家に相談」だけでは解決しないのか
現場が抱える「ゼロ回答」への不満と徒労感
「髪を緑に染めて気持ち悪いですよ 頭大丈夫ですか?」 「フランケン化け物」 「全てやりっぱなし、違法行為ばっかり」
これらは、実際にインターネット掲示板やSNSに書き込まれた内容です。法務省が公表している侮辱罪の事例集に掲載されている事案であり、驚くべきことに、これらの書き込みに対してはいずれも略式命令が下され、それぞれ5万円、10万円、30万円の罰金が科されています。「この程度で罰金になるのか」と思われた方も多いのではないでしょうか。
しかし、いざ自院のスタッフがこうした理不尽な被害に遭い、世の中に出回っている一般的な研修資料や対応ガイドラインを開いてみても、最後に書かれているのは決まって「最終的には専門家にご相談ください」という一文です。これを見た現場の皆さんは、おそらく「結局、自分たちだけでは今のこの苦しい状況に対して何もできないのだな」と肩を落としてしまうはずです。
目の前で傷ついているスタッフがいるのに、弁護士の予約を取り、相談に行くまでの時間、ただ耐え忍ぶしかないというのは、現場にとってゼロ回答に等しいと言わざるを得ません。
10月施行の法律が示す「ペイハラ放置」の重大な経営リスク
医療機関で発生する患者さんからの理不尽な要求や暴言は、労働施策総合推進法等の文脈において明確に「カスハラ(カスタマーハラスメント)」として扱われます(厚生労働省はこれをペイシェントハラスメント=ペイハラとも呼称しています)。
今回の10月1日の法施行により、事業主にはハラスメントから労働者を守るための体制整備がより強く求められるようになりました。ネット上の匿名の安全圏からスタッフに「ゴミ」「ヤブ医者」と石を投げる行為は、対面での暴力や怒声と同じく、立派なカスハラです。
これを放置することは、スタッフの働く意欲を根底から削ぎ、最悪の場合は精神的な不調による休職や離職につながる重大な経営リスクとなります。病院側が負う「スタッフが心身ともに安全に働ける環境を整える安全配慮義務」は、もはや努力目標ではなく、法律に基づく組織の明確な責任です。だからこそ、「専門家任せ」にするのではなく、組織としてどう向き合うかの具体的な行動指針をあらかじめ示しておくことが絶対的に求められているのです。
ネット誹謗中傷に対する基本方針は「適度なスルー」
すべての口コミに返信するリスクと膨大なコスト
具体的な対策の第一歩は、基本方針を定めることです。結論から申し上げますと、ネットの書き込みには、良いことにも悪いことにも「原則として反応しない(適度なスルー)」ことが最大の防御となります。
実際に、患者さんとの対話を大切にするあまり、良い口コミにも悪い口コミにも一件ずつ丁寧に返信している病院があります。患者さんの声に真摯に耳を傾ける姿勢自体は、医療者として非常に立派です。しかし、実情を詳しくお聞きすると、良かれと思った返信に対してさらに疑問や再質問が寄せられたり、「説明が足りない」「言い訳ばかりだ」と非難されたりすることが起きています。ひどい場合には、返信の文章の一部だけが切り取られ、「この病院は患者に寄り添わないひどい対応をする」としてSNSでさらに拡散されてしまうケースすらあります。
その結果、どのような言葉を選ぶべきか、どこまで踏み込んで説明するべきかに膨大な時間を奪われ、複数人のチェックを経て、最終的にはスタッフ一人がほぼその返信作業に張り付いているような状態に陥ってしまうのです。
個人情報保護法と安全配慮義務の観点から考える
不特定多数の匿名の批判や不満、誹謗中傷にすべて付き合っていては、時間も人も足りなくなります。現在の医療現場は診療報酬が厳しく抑制されており、このような業務に多大なコストをかけることは、費用対効果の面から見ても決して推奨できません。
さらに重大な問題があります。口コミへの反論や説明を行う際、身の潔白を証明しようとつい具体的な診療内容や経緯に触れてしまうと、患者さんの秘密保持義務違反や個人情報保護法違反といった別の大きな問題を引き起こすおそれがあるのです。善管注意義務を果たし、組織とスタッフを守るためにも、安易な返信は控えるべきです。
だからこそ、ネット上の顔の見えない悪意に対して躍起になって反論するのではなく、「適度なスルー」を実践してください。そして、その分の時間と労力を、今、目の前の待合室で待ってくれている患者さんや、病棟で不安を抱えている患者さんにしっかりと寄り添い、耳を傾け、日々の医療業務を誠実に進めていくことに注ぎ込んでいただきたいのです。
ネット上の言い争いに勝つことよりも、日々の真摯な医療活動を通じて得られる「あそこの先生や看護師さんはいつも親身になってくれる」という口コミこそが、地域への確固たる信用という形で広く浸透していきます。それが結果として、少々のネットの悪評など吹き飛ばしてしまう最強の盾となるのです。
目の前の患者さんに寄り添うことこそが最大の防衛策
もう一つ、現場の皆様にぜひ知っておいていただきたいことがあります。それは、一般の読者は、病院の関係者が思っているほどネットのネガティブな書き込みを気にしていないということです。
現代のインターネット上には、批判、人格否定、差別的な発言、罵詈雑言が日常的にあふれ返っています。多くの人は情報の見極め方を学んでおり、匿名による極端な悪口だけで受診先の病院を決める人の割合は、皆様が想像するよりもはるかに低いと私は見ています。
病院を守るための「看過できない一線」と悪質性に応じた対応
組織として動くべき明確な基準
原則は「スルー」とお伝えしましたが、決して「何があってもすべて泣き寝入りしろ」という意味ではありません。組織として守るべき一線を越えた悪質な書き込みに対しては、断固たる法的措置をとる必要があります。重要なのは、書き込みの「悪質性」と「実害の程度」に応じて、どこからどのような対応をとるかという基準を、あらかじめ組織内で取り決めておくことです。
【レベル1:軽微な不満や単なる愚痴】 (例:「待ち時間が長すぎる」「受付の愛想が悪い」など) これらは現場にとって耳が痛い内容かもしれません。しかし、まずはその書き込みの背景に想像を巡らせてみてください。病院を訪れる患者さんやご家族の多くは、病気への不安や心配、あるいは治療が自分の思い通りに進まないことへの恐怖を抱えています。 実際に近年の裁判例(令和6年の福岡高裁判決など)においても、患者さん側が疾患への不安や精神的な不安定さから感情的な言動(批判的な意見表明など)に及んだとしても、それが直ちに違法なペイシェントハラスメント(不法行為)に当たるとは評価できない、という趣旨の判断が示されています。 たとえそれが病院の評価を下げるような内容であったとしても、不安や心理的ストレスからの感情の露呈、主観に基づく意見表明である限り、原則として個人の「表現の自由」は最大限尊重されるべきです。 だからこそ、このレベルの書き込みに対しては腹を立てて反論するのではなく、「適度なスルー」を徹底する。そして「不安を抱えた患者さんへの声かけが少し足りなかったのかもしれない」と、院内の業務改善や接遇を見直すためのヒントとして前向きに受け止める器量を持つことが大切です。
【レベル2:事実と異なる虚偽の流布による信用毀損】 (例:「この病院は保険診療の水増し請求をしている」「無資格の人間が医療行為をしている」など) レベル1が受忍すべき範疇であるのに対し、レベル2は個人の主観の域を完全に逸脱した、明らかな違法行為です。病院の経営基盤や社会的な信用を根底から揺るがす重大な書き込みであり、もはや「表現の自由」で守られるべきものではありません。 このような虚偽の情報が放置されれば、病院が不当な損害を受けるだけでなく、地域の方々が誤信し、必要な医療を受ける機会を奪われてしまう悪影響も生じます。このレベルになれば、躊躇することなくプラットフォームへの強力な削除要請や、民事での発信者情報開示請求を視野に入れた対応が必要です。
【レベル3:スタッフへの深刻な人権侵害や明確な犯罪予告】 (例:スタッフの実名や容姿を挙げた人格否定、「殺す」「火をつける」などの脅迫、実害が生じているケース) これはクレームや誹謗中傷の枠を完全に超えた、明確な「犯罪行為」です。スタッフが精神的な苦痛を訴えている、あるいは直接的な恐怖を感じる書き込みを放置することは、尊い医療従事者の心を破壊し、ひいては地域の医療体制そのものを崩壊させかねません。法改正によって守られるべき最たるケースです。 組織としてスタッフの命と人生を守るため、このような暴挙に対しては一歩も引いてはいけません。ただちに証拠を保全し、警察への被害届や告訴に向けた行動を起こし、加害者に法的な責任を問うという最も強い姿勢を示すべき段階です。
このように悪質性に応じた段階的な方策を事前に決めておくことで、現場のスタッフは「これはスルーしていいのか、上に報告すべきか」と一人で思い悩む苦痛から解放されます。
👉 ネット上の書き込みに対する事実整理と法的対応と同様に、対面で「医療ミスだ!」と根拠のない独善的な要求を突きつけられた際にも、事実確認に基づく理論武装と一線の引き方が不可欠です。どこまでが正当なクレームで、どこからがカスハラになるのか、具体的な解決策についてはこちらの記事もあわせてご覧ください。 『【クレームかカスハラか】医療ミスを疑う患者対応の限界線と二本立ての解決策』 (https://shibaken-poli.com/2026/09/10/%e3%80%90%e3%82%af%e3%83%ac%e3%83%bc%e3%83%a0%e3%81%8b%e3%82%ab%e3%82%b9%e3%83%8f%e3%83%a9%e3%81%8b%e3%80%91%e5%8c%bb%e7%99%82%e3%83%9f%e3%82%b9%e3%82%92%e7%96%91%e3%81%86%e6%82%a3%e8%80%85%e5%af%be/)
警察や弁護士を動かすために違法な「文言」を抜き出す
看過できないレベル2やレベル3の書き込みを発見し、いざ動くとなった時、「とりあえず弁護士や警察に相談しよう」と駆け込むのは得策ではありません。その前に必ずやるべき作業があります。それは、書き込みの中から「どの文言」が「どの犯罪」にあたる可能性があるかを具体的に抜き出し、整理しておくことです。これを事前に行うだけで、警察にも弁護士にも話が格段に通じやすくなります。
侮辱罪:法改正による厳罰化と親告罪のポイント
事実を示さなくても、公然と人を侮辱すれば成立するのが侮辱罪(刑法231条)です。「バカ」「ハゲ」「ヤブ医者」といった言葉や、容姿への揶揄、差別的な言葉などが対象となります。 2022年7月の法改正により、法定刑が「1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金、もしくは拘留または科料」へと大幅に引き上げられました。法務省の資料によれば、実際には罰金や科料が中心となっているものの、この厳罰化によって以前よりも警察が事件として扱いやすくなったのは確かな事実です。 注意すべき点として、侮辱罪は被害者本人からの告訴がなければ起訴できない「親告罪」です。そのため、病院として毅然と告訴する意思を固めるためにも、書き込みのどの部分が侮辱にあたるのかをあらかじめ明確に整理しておくことが不可欠です。
偽計業務妨害罪・威力業務妨害罪:恐怖や虚偽の流布への対処
業務妨害罪(刑法233条後段・234条)は、法定刑が3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金と重く、告訴がなくても起訴が可能な犯罪です。 「威力」とは、人の意思を制圧するような勢力を示すことです。「爆破するぞ」「殺すぞ」「ネットで大炎上させて潰してやる」といった、直接的な恐怖や不安を与える言動がこれにあたります。 一方「偽計」とは、人をだましたり、勘違いを利用したりして業務を妨害することです。たとえば「あの病院には無資格の職員がいる」という書き込みがあったとします。病院内に事務員など資格を持たない職員がいるのは当然のことですが、前後の文脈から「看護師や技師として無資格者が医療行為を行っている」と読者に勘違いさせるような悪質な書き方であれば、偽計業務妨害罪に問える可能性があります。
名誉毀損罪:事実であっても社会的評価を下げれば成立
公然と事実を示して、人の社会的評価を低下させる行為が名誉毀損罪(刑法230条)です。重要なのは、書き込まれた内容が「事実(本当のこと)」であっても成立し得るという点です。 「金儲けばかりで、患者を診もしないのによその病院の倍の患者を入れている」 「仕事もせずに、外車や高級車を乗り回している」 このような書き込みは、たとえ一部に事実が含まれていたとしても、病院や経営者の社会的評価を不当に下げるものであれば名誉毀損にあたります。インターネット上の個人の書き込みだからといって甘く扱われることはないという最高裁の判断も明確に示されています。
信用毀損罪:経済的な信用を奪う虚偽の噂
虚偽の噂を流したり、人をだましたりして、人の経済的な信用を傷つける行為は信用毀損罪(刑法233条前段)にあたります。「あの医者は腕がない」「技術が古くて良くなった患者が一人もいない」といった書き込みは、病院の経済的な信用を直接的に奪うため、この対象になり得ます。
業務妨害罪や信用毀損罪は、実際に被害が発生したことまでを証明しなくても罪は成立します。しかし、警察や裁判所を本気で動かすためには、被害の実態を客観的な資料で示すことが極めて有効です。「書き込みのあった翌月から新規予約数が〇割激減した」「患者数が減少し、毎月の減収額が〇〇万円にのぼった」といった具体的な数値を整理し、証拠として提示できるように準備しておきましょう。
民事手続きと刑事手続きのリアルな費用対効果
民事の限界と「いたちごっこ」の実態
書き込みに対して法的な措置をとる場合、民事手続き(書き込みの削除請求や発信者情報の開示請求)を検討することが一般的です。 法改正が重ねられ、プロバイダ側の迅速な対応が求められるようにはなりましたが、私がこれまで対応してきた実感として、実務上は相手の特定までに最低でも2か月程度の期間を要します。さらに、高い弁護士費用を払って相手を特定したとしても、相手が別のアカウントを作って再び書き込みを始めれば、果てしないいたちごっこに陥ってしまいます。 費用対効果の観点から見ると、民事手続きは決して万能ではありません。したがって、民事手続きを行う場合は、単に書き込みを消すことだけを目的とするのではなく、「当院は悪質なカスハラに対しては毅然とした法的措置をとる」という組織の強い姿勢(ガバナンス)を社会とスタッフに示すための手段として位置づけるべきです。
刑事手続きは「相談」ではなく「処罰を求める」姿勢で
悪質な書き込みについて警察に行く際、多くの人が陥りがちなミスがあります。それは「どうしたらいいでしょうか」と単なる「相談」に行ってしまうことです。 警察署には日々膨大な数のトラブルが持ち込まれます。特にネット上のトラブルに関しては、「民事不介入」の原則や、犯罪としての立証の難しさから、「この文言では事件化するのは難しいですね」「まずは弁護士を入れて民事で開示請求をしてから来てください」と諭されて終わってしまうケースが後を絶ちません。 だからこそ、事前の準備がものを言うのです。先述した通り、どの文言がどの犯罪にあたるのかを明確に抜き出し、実害のデータや証拠(画面のスクリーンショット、URL、日時など)をすべてプリントアウトして揃えてください。そして、単なる相談ではなく、「明確に犯罪被害に遭っており、行為者の処罰を強く求める」という揺るぎない意思を持ち、被害届や告訴状を提出する覚悟で警察に臨むのです。整然と整理された資料と被害の深刻さを示すことで、警察の対応は大きく変わります。
警察が本気で動き、書き込みの内容から犯人が推測できるような場合、警察から直接相手方に警告の電話を入れてもらえることがあります。元警察官としての経験からも言えますが、警察からの電話一本で、あれほど激しかった書き込みがピタリと止まるケースは少なくありません。早い段階から警察を巻き込み、組織として本気で立ち向かう姿勢を見せることが、カスハラ対策の最大の鍵となります。
プラットフォームへの削除要請は「何度でも」粘り強く
法的な手続きと並行して、GoogleやSNSなどのプラットフォーム管理者に対して直接削除要請を行うことも重要です。その際は、自分たちの権利がどのように侵害され、どのような実害が出ているのかを具体的に記載して請求します。 最初の申請では、AIが自動的に判断し「当社のポリシーに違反していないため削除対象になりません」と冷たい返答が来ることがほとんどです。ここで諦めてはいけません。納得がいかなければ、表現を変え、実害の深刻さを訴えて、何度でも要請を繰り返してください。人間の担当者の目にとまり、医療現場の切実な実情が伝わって最終的に削除されるケースは十分にあります。
医療現場のガバナンスと「書かれる被害」への社会的な声
最後に、より大きな視点からお話しします。現在のインターネット社会においては、「表現の自由」という大義名分の下、匿名であれば何を書いても許されるという誤った風潮が蔓延しています。
しかし、匿名で一方的に書く側の自由ばかりが守られ、命と向き合う過酷な医療現場のスタッフが心身をすり減らすような「書かれる側の被害」が放置されてよいはずがありません。今回の法改正は、まさにこうした社会の歪みを是正し、働く人々を守るために動き出した結果です。スタッフを守れない医療機関は、やがて地域医療を支える力を失います。これは病院単独の問題ではなく、社会のインフラである医療体制を崩壊させかねない深刻な問題なのです。
私たちが現場から声を上げ、法律を後ろ盾としながら、悪質なカスハラに対して毅然とした対応を積み重ねていくことこそが、社会のルールを変えていく大きな力となるのです。
まとめと結び
ネットの書き込みには、原則として「適度にスルー」する。 そのうえで、病院ごとにあらかじめ「看過できない基準(悪質性に応じた段階的対応)」を明確に決めておく。 基準を超えた悪質なものに対しては、違法な文言を正確に抜き出し、確たる証拠をもって警察や弁護士に「処罰を求める姿勢」で臨む。 これが、現時点での医療機関におけるカスハラ・ネット誹謗中傷対策の極意です。
私は、決してネットの書き込みによる被害を軽く見ているわけではありません。現場の皆様が「これはどうしても許せない」と判断された事案については、今回ご紹介した手法を用いて、全力でサポートしていく所存です。
私は、元警察署長としての危機管理経験や、財務省・国税庁への出向経験を経て、現在は看護学校の講師や福岡市医師会の安全対策支援アドバイザーを務めております。これまで、ご依頼に応じて市内の病院で数多くの相談対応や研修、講話を行ってまいりました。
10月の法改正を機に、組織の安全管理や悪質なハラスメント対応などでお困りのことや、お会いしてご相談されたいことがあれば、どうぞ遠慮なく柴田建一(シバケン)までご連絡ください。経営層の方からのご依頼はもちろんですが、現場の担当者様が個別でお悩みの場合もあるかと存じます。決して一人で抱え込まず、安心してお気軽に声をかけてください。
本日も最後まで本ブログをお読みいただき、誠にありがとうございました。今日も患者さんのために、過酷な現場で奮闘されている皆様に心からの敬意を表します。法整備が背中を押してくれている今こそ、福岡の医療を、ともに守っていきましょう。
👉 公的エビデンス:厚生労働省の公式指針はこちら 10月施行の法律に伴い、組織として講ずべきハラスメント対策の公的な基準については、厚生労働省発出の以下の指針をご確認ください。
【厚生労働省】労働施策総合推進法に基づく「事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(令和8年厚生労働省告示第51号)」 (https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001662584.pdf)

